創作文。

雨の日は外に出られないと窓を眺めている。そんな弟の姿を見ながら欠伸をひとつ噛み締める。怠いのは低気圧のせいだけではないだろう。溜まっていた仕事がようやくキリがつき、疲れていて実際のところなにもしたくない。まだ残っている仕事を面倒くさいと思いながら作り上げた昼食を食べ終えて残り半日をどう過ごすかぼんやりと考える。

「でも兄様と一緒にいられるのは嬉しい」

いつも一人で食事をしている弟はそんな言葉を漏らしていた。寂しい思いをさせていたのか。と気付く。今日はこのまま外に出られないだろうし一緒に昼寝をしよう。何もしない日があったっていいだろう。仕事のことは思考を放棄した。

「仕方ねぇな、昼寝でもするか」

疲れ切った身体をソファに横たえ呼んで抱き寄せた弟とぴったりくっつく。互いの体温の温かさとしとしとと降り続く雨音が心地良い。程なくして二人は深い眠りに落ちていった。

 

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