父さんの言うことは絶対だ。
神様の言うことは絶対だ。
そうやって俺は生きてきた。子供の頃、浮浪していたところを拾われたのが始まりだと思う。気が付くと、俺はもう彼の傍にいるのが当然だった。与えられた魔力で彼の下に就いてなんでもした。
それはもちろん、彼の言いようにされたということである。
暴力もあった。この右目だって……数え上げればキリが無い。
それでも父親として神様として絶対だと思っていた。それを今までなんの疑問も持たずにきたのだ。
なにがきっかけか分からない。ただ積もりに積もった塊が閾値を超えたのだと思う。言うままに従い生きることに疑問を感じ、それからはなにも信じられなくなった。
それでも身体は彼の為に動いてしまう。
矛盾する行動と思考の混乱と俺は疲れ果てていた。それでも彼に応えるべく動き回ってしまう。浮かぶ疑問を考える暇もないまま言われるがままに命令に従い何が壊れているか分からないまま時間だけが過ぎていった。
これで…いいのか?
疑問は浮かべどもどうすればいいか分からず身体は拒絶できずただただ言いなりになる日々。大切な人も失い傍にいる意味など無いのに。
そうしてただ疲れ果てた身体を横たえ眠りに就くのだった。