創作文。

気がつくともう刃物を構える男たちに囲まれていた。しかしジャックは冷静だった。

「さて、久々に暴れますか」

ジャックの中指の指輪が光り、手の平に炎が灯った。敵は5人、一度に焼いてしまえば簡単だが傍にマコトがいる。火加減を調整しなければ彼も焼けてしまうだろう。

「おまえさんもこんなにモテるなんてご苦労なこった」

程良い大きさの火球に仕上げその熱を手の平か放った。正面からきた敵二人を焼き払う。残り3人。よく見ると魔法防御の為の外套を羽織っている。だったら物理攻撃の方が得策か。判断するや倒れた敵から剣を奪い取り構える。威嚇程度に火球を放ちつつ斬り込む隙を窺う。

「俺のことなんかほっておけばいいのに……」

胸に抱かれたマコトはぼそりと呟いた。この喧噪の中、聞こえなかったふりをして剣を振るう。残り一人。かなりの手練れなのかジャックは苦戦していた。

「店の看板壊されちゃ黙っていられないからねっ!」

実際に店に被害は出ているので恨みを晴らさんとばかりに外套ごと焼いてしまうつもりで火球に魔力を込めた。武器の届かないところまで一気に距離を取り、魔力の塊をぶつける。が、相手の方が一枚上手だったか一瞬の差で転移魔法によって姿を消していた。

「ちっ…覚えていろよ……」

ジャック苦々しい独り言だけが残った。